異世界
□おんぶ
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俺にもたれかかって眠ってしまった砕蜂をみて、正直困った。熱と疲れで、限界だったのだ。眠ったというより意識を失っているというほうが正しい。
(やっぱり黒崎か石田に連絡するか…?)
だが、砕蜂の「男のドクターは嫌だ」という言葉が甦ってくる。……俺もなんだか嫌だ。
ぺちぺちと砕蜂の頬を叩き、
「おい、起きれるか? 帰るぜ。」
と言うと、うっすらと目を開いて、
「ん…。」
と言う。が、目は焦点が合っていないし、立ち上がる気配は見られない。
もう一度ぺちぺちとしてみるが、
「ん…。おん…ぶ…。」
(げぇっ? なに言ってんの? まさか、こんなに甘えたな奴だったとは。熱でどうかして、俺を誰かと間違ってる?)
でも、それ以上待っても動けそうにはない。仕方がない。俺は荷物を肩にかけ、彼女を背負った。