異世界

□捕獲?
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俺は全速力で学校に戻り、図書室へと向かった。部活をする生徒たちの声が遠くからしている。まだ彼女はいるだろうか?

――いた。


「おい、砕蜂、ちょっと顔貸せ。」

「しつこいぞ。帰ったのではないのか?」

「いいから、ちょっと来い。」

「断る。」

砕蜂は頑として聞かなかった。仕方なく俺は彼女が帰るのを待つことにした。彼女の向かい側に座り、宿題をし始めた。

どのくらいの時間が経っただろう。完全下校時刻となり、彼女も荷物をまとめて、帰り支度を始めた。俺も急いで参考書や問題集を片付けて、いつでも出られるようにした。

一緒に図書室を出ると、砕蜂は、

「付いてくるな。」

と言った。

「別に、校門あっちだし、関係ねーじゃん。」

「ほう。女子トイレの中にまで付いてくるのか。人を呼ぶぞ?」


トイレの前で待つのもどうかと思われたので、少し離れたところの廊下で壁にもたれて、彼女が出てくるのを待った。

――遅い。いくらなんでも遅くないか? トイレの中で泣いてるとか、気分が悪くなっているとか…、と心配になった時に、ふと廊下の窓から目を外に向けると――。

校門に向かって猛スピードで走っていく見覚えのある後ろ姿が目に入った。


(あ・い・つ〜っ! ここ、二階だよな? 二階の窓から「脱走」した?)

慌てて後を追いかけたが、後の祭りだった。俺が校門に付く頃には、すでに砕蜂の姿は見失っていた。
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