異世界

□心配
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図書室での会話から、砕蜂に化学のノートを貸すことになった。彼女が理系で薬学部志望という情報もゲットした。今まで嫌われてるのかと、少し気になっていたのだが、どうやら彼女は人付き合いに関して、とことん不器用なだけのようだ。

砕蜂は、

「ノートはコピーをしてすぐ返す。」

と言って、翌日には律儀に返してきた。

「別にそんな急がなくてよかったのに。」

「檜佐木だって勉強しなくてはならんだろう? だが、何より貴様の字が汚くて読めん箇所があるのだ。そこを聞きたくてな。」

「……、お前なあ。他人にノート借りといて、字が汚いとか言うなよ。」

「事実は事実だ。」

檜佐木は思わず溜め息を吐いた。


だが、それを切っ掛けに、徐々に砕蜂との会話は増えていった。

読めない字を確認するついでに、彼女は勉強で解らないところ――他の科目について――も訊いてきた。会話の内容のほとんどは勉強に関することだが、ウチの学校では今まで、勉強についての話し相手なんていなかったから、俺にも良い刺激になった。


気が付くと、いつの間にか、休み時間は彼女と過ごすことが多くなっていた。
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