異世界

□転校生
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そんなある日。女子の転校生がやってきた。

蜂梢綾(フォン・シャオリン)。中国人のようだ。

「檜佐木くん、しばらく彼女のこと、よろしく頼むよ。君の隣の席、空けておいたから。フォンくんも、彼、一見怖そうだけど、生徒会長をしていて面倒見はいいから、分からないことがあったら、彼に聞くといいよ。」

担任の京楽先生が、簡単に紹介したところによると、親父さんが中国人で横浜で貿易関係の仕事をしていたが、訳あって独り暮らしをすることになり、ちょうどいい物件が空座町にあったものだから、越してきたらしい(横浜のほうが便利じゃねぇの?)。

日本語はずっと日本で暮らしているので不自由はないようだが、どこか他人を寄せ付けない雰囲気があった。

「蜂梢綾です。どうぞよろしく。あと、我が家には代々受け継いできたあざながあるので、できれば私のことは、砕蜂(ソイフォン)と呼んでいただきたい。」

そう自己紹介をすると、席についた。

俺はとりあえず、

「檜佐木修兵だ。よろしく。」

と言うと、彼女は、

「ああ、よろしく。」

とだけ言った。どうも見かけだけではなく、口数も少なく無愛想な感じだ。華奢で人形のようなのだが、そう。人形のように表情がないのだ。笑えばもっと可愛いのにな、そんなことを考えながら横目でチラッと見ると目が合った。

が、ついと逸らされた。
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