捧物

□14000hit御礼キリリク(香雪さまへ)
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虎徹が帰った後、とりあえず虚(ホロウ)なんかの仕業ではなかったことに安堵した。

(看病といっても、側に付いていることしかできないよな…。あ、でも水分補給…)

二日酔い対策にと買ってあった現世のスポーツドリンクを思い出し、取りに行った。しかし、起こすのは忍びない。

(……。これは口移しか!?)

「仕方ないんだ」と自分に言い聞かせながら、スポーツドリンクを一口含んで口移しで飲ませる。コクリと燕下したのがわかった。もう一口、もうひと口、とゆっくり飲ませる。

半分くらい飲ませたところで、梢綾がうっすらと目を開けて、

「檜佐…木…?」

と言った。思わず俺がごっくんとドリンクを飲んでしまった。しかし、努めて平静を保ちながら、

「あ、起こしちゃいました? スミマセン」

「な…んで…、ここは…?」

「俺ん家です。びっくりしましたよ。帰ってきたらこんなところで寝てるから起こそうとしたら、すごい熱で。喉、まだ渇いてますか? もう少し飲んでおきます?」

と、スポーツドリンクのペットボトルを差し出すと、何とか半身を起こそうとするが、目眩がするのか、上手く起き上がれない様子だ。慌てて背中を支える。ペットボトルを手渡すと、やはり喉が渇いていたのだろう。残りをごくごくと飲み干してしまった。
ひと心地ついたのか、ふと、

「これ…、飲ませてくれたの…、あと着替え…、檜佐木が…?」

と問われた。ギクリとするがここは正直に、

「スミマセン。でもすごい熱で汗かいてたから」

と謝る。すると、

「…いや…、いい。助かった」

と、いつになく素直だ。ちょっと調子に乗って、

「まあ、俺に裸見られたって、今さらでしょ?」

とニカっと笑うと、いつもなら枕でも飛んできそうなところだが、

「そ…だな…。情け…ないが…」

という答え。…これは重症だ。
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