異世界A

□ハンカチを買いに。
2ページ/3ページ

翌朝。砕蜂に会って開口一番、

「おはよ。昨日はありがとな。ハンカチ、まだ乾いてないから、明日にでも…。」

と言うと、

「ああ別に、いつでもいい。」

と言われた。

「そ、そっか? じゃあ、また…。」

考えていても埒が明かないので、こういう場合、どうしたらいいか、休み時間にこっそり伊勢に相談してみた。

「檜佐木くんが相談なんて珍しい、と思ったら。そんなに気になるなら、何かちょっと添えて返したらいいんじゃないですか? お菓子とか雑貨とか…。」

さすがは伊勢。困ったときの伊勢頼み。…新しいハンカチでも買って、一緒に返すか…。

という訳で、俺は帰りに雑貨屋に寄ることにした。でも、その前にあいつの好みも訊いておいた方がいいか。

その日の放課後、いつものように図書室で2人で残っている時に尋ねてみた。

「なあ。お前って、好きな色、ある?」

「なんだ?」

「いや、別に。」

「あまり意識したことはないな…。季節によるところもあるし。」

「ふ〜ん。」

会話は一旦そこで途切れたが、「季節による」というのは、俺の想像を超えて意外だった。

すると、砕蜂が、

「そういえば、伊勢にも同じようなことを訊かれたのだが、色による心理テストでも流行っているのか?」
と言った。……。

「いや、別に。たまたまだろ。(伊勢。もしかしてリサーチまでしてくれてたのか…。)」

もう、店に行ってから決めよう。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ