異世界A
□ハンカチを買いに。
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翌朝。砕蜂に会って開口一番、
「おはよ。昨日はありがとな。ハンカチ、まだ乾いてないから、明日にでも…。」
と言うと、
「ああ別に、いつでもいい。」
と言われた。
「そ、そっか? じゃあ、また…。」
考えていても埒が明かないので、こういう場合、どうしたらいいか、休み時間にこっそり伊勢に相談してみた。
「檜佐木くんが相談なんて珍しい、と思ったら。そんなに気になるなら、何かちょっと添えて返したらいいんじゃないですか? お菓子とか雑貨とか…。」
さすがは伊勢。困ったときの伊勢頼み。…新しいハンカチでも買って、一緒に返すか…。
という訳で、俺は帰りに雑貨屋に寄ることにした。でも、その前にあいつの好みも訊いておいた方がいいか。
その日の放課後、いつものように図書室で2人で残っている時に尋ねてみた。
「なあ。お前って、好きな色、ある?」
「なんだ?」
「いや、別に。」
「あまり意識したことはないな…。季節によるところもあるし。」
「ふ〜ん。」
会話は一旦そこで途切れたが、「季節による」というのは、俺の想像を超えて意外だった。
すると、砕蜂が、
「そういえば、伊勢にも同じようなことを訊かれたのだが、色による心理テストでも流行っているのか?」
と言った。……。
「いや、別に。たまたまだろ。(伊勢。もしかしてリサーチまでしてくれてたのか…。)」
もう、店に行ってから決めよう。