異世界A
□水底の記憶
3ページ/3ページ
記憶が突然蘇り、浦原の言っていたことがあまりにも思い当たりすぎて、全身がガクガク震え始めた。
「おい、砕蜂っ! 大丈夫か? 真っ青じゃねえか。」
「砕蜂さん、少し休もう。温泉で暖まったほうがいいよ。」
「あ、ああ…。そう、する…。」
左右から檜佐木と虎徹が支えてくれて、足の付くところまで連れていってくれた。
「やっぱり檜佐木くんがいてくれてよかった。私1人じゃ、砕蜂さんに泳いでもらわなくちゃいけなかったもん。」
しかし、プールサイドに上がっても震えは止まらず、私はその場にへたり込んでしまった。私は両肩を抱くようにして震えていた。その様子に只ならぬものを感じたのか、虎徹がバスタオルをかけてくれ、次に檜佐木に向かってとんでもないことを言った。
「檜佐木くん、砕蜂さんをとりあえず暖かいところまで運んで! この際、採暖室でもジャグジーでも、一番近いところ。」
「「え゛。」」
2人同時に声が出た。しかし、檜佐木がしゃがんで背を向けて、
「ほら。背負ってやるから。」
と言うので、仕方なく言われた通りにした。……何の罰ゲームだ。