捧物

□11000hit御礼キリリク(椏吏さまへ)
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電車はやがて目的地の最寄駅に到着し、そこからはバスに乗り換える。


今回の宿は高原のリゾート地ということであえて洋風のリゾートホテルにしてみたが、ここは日本。至るところが温泉地になっている。このホテルも広大な敷地内に温泉が湧いている。砕蜂隊長は日頃、現世は嫌いだと言っているが、温泉は好きなようなので、果たして反応はどうだろうか。

フロントでチェックインをし、鍵を受け取り部屋に入ると、窓の外には美しい新緑と、頂にはまだ残雪を残す山脈が見えた。

部屋はもちろん洋室で、ベッドが2つ並んでいる。布団よりもなんだか緊張する。ちらりと砕蜂隊長を見やると、意外にも気に入ってくれたようで、窓に駆け寄り、外の景色を眺めている。

「檜佐木、あれは何という山だ?」

「え? え〜と…、○○岳ですね。それであちらの山頂が尖っているのが△△岳……」

「山頂からの眺めは良いだろうな。1時間くらいもあれば行ってこられるか?」

「え〜と。こちら(現世)では俺たちの力もかなり制限されてますし、今回はやめときましょ。それにそんな軽装で何の装備も持たずに登山道に向かったら、見咎められますよ?」

「そうか…。」

(なんでそうなる? もっとここからの景色を楽しみましょうよっ!)

まあ、砕蜂隊長らしいといえばらしい。食事までにはまだ充分時間があるので、砕蜂隊長にはぜひともこの景色を堪能してもらいたい。

「砕蜂隊長、今日は山に登るのは無理ですが、その辺りを散策してみませんか? 新緑がきれいですよ。」

「そ、そうだな。あの…。着替えてもよいだろうか?」

「へ? あ…、分かりました。俺、フロントでお薦めの散策コースでも聞いてきます。」

「では、下の階で待っていてくれ。すぐに行く。」

俺は一足先にロビーに降りて、砕蜂隊長を待った。
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