異世界
□看病@
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かろうじて、米はあったので、お粥を炊くことにした。が、土鍋なんて無さそうだし、炊飯器は汚れていない代わりに、随分と長い間、使われた形跡はない。
どうにかこうにか、お粥を炊いて、冷蔵庫の中にあった、これまた賞味期限の分からない卵を割ってみて、大丈夫そうだったので、卵粥にしてみた。砕蜂にも声をかける。
「お粥、炊けたけど、食えるか?」
「う…ん。」
とろんとした眼で起きてくる。
「熱いから気を付けろよ。あ、その前にスポーツドリンクか何か、飲んどくか?」
「う…ん。」
ゴクゴクとスポーツドリンクを飲み干すと、テーブルに頬を付けて、また眠ってしまう。
(こりゃ、ダメだ。)
とにかくもう一度、砕蜂をベッドに寝かせ、俺は腹を決めて、まず石田に電話した。が、急患が入ったとのことで、バタバタしているという。
仕方なく、黒崎に電話をすると、親父さんが来てくれると言う。でも、俺がここに居ること、どう説明するんだ……?
そして30分ほどして、黒崎の親父さんが来てくれた。
「あ、お休みのところ、わざわざスミマセン。俺、黒崎くんと同じ高校の三年生で、檜佐木といいます。同級生の蜂(フォン)さんが熱を出してしまって、送ってきたら……」
と、とりあえず経緯を説明した。
「独り暮しの女の子の家に上がり込むなんて、非常識かとは思ったのですが、放っておけなくて…。」
と、自身の潔白を主張することも忘れない。
だが、黒崎の親父さんは、
「う〜ん、若いっていいなあ。うんうん。」
――聞いちゃいねえ。