オリジナル

□プロローグ
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〜午前○○時 王国ヒュぺリス〜
?「【ルミナス】〜、行くよ〜♪」


―――かなり時間が早い朝の出来事。
王国の外れの小さな家から元気な男の子の声が聞こえた。
男の子はバタバタと廊下を走り、まるで早く外に出たいと言わんばかりにワタワタと靴を履こうとしている。
そんな廊下の奥から、男の子とは対照的にゆったりとした足取りで人影に現れる。
背中まである漆黒の髪。深い藍色の瞳。整った顔立ち。
少し眠たそうに小さく欠伸をして、男の子と同様に玄関に立つ。
彼よりも一回りくらい年上に見えるその男性を、早く早くと急かす男の子。
今日は二人(と言うより男の子)にとって楽しみにしていた日。


?「今日は待ちに待った【アベントゥーラ学園】の入学式!楽しみだな〜♪ね?ルミナスっ♪」

?「・・・・そうだな・・・・ふぁ・・・」


興奮気味に話す男の子とは対照的に、とても気怠げにまた小さく欠伸をしながら靴を履く。
そんな彼の様子を眺めていた男の子は「あれ?」と突然首を傾げた。


?「ルミナス?【翡翠】は?」

?「・・・・ここ。」


男の子の問いに男性は短く答えながら自分の胸元を指差す。そこには、奇妙な模様のアザ。
それを見た男の子は納得したように「そこか
〜♪」と言いながら靴紐を縛り直す。
ルミナスと呼ばれた男性も「そ」と短く返すと靴を履き、玄関のドアに手をかける。


?「やっとあの学園に行ける〜♪」

ルミナス「【ロク】、一応言っておくけど『あれ』は出すなよ?」

?「わかってるって☆」


―――第三者が聞いていたら首を傾げるような内容。
それをまるで日常茶飯事のように話す二人。これは、二人にしかわからない、秘密の約束。


?「よしっ!!じゃあしゅっぱーつ!」


男の子は満面の笑みに、ルミナスも小さく笑みを返し、玄関のドアを開けた―――
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