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□▼隣の御曹司は、炬燵が好き
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最近、よく思う。
朝起きて、仕事に行って、帰って寝る生活。
同僚に言わすところの「彼女でも作って、家で温かい料理を作ってもらえばいい」と。
しかし、別に彼女が居ようと居まいと、温かい料理は自分で作るから関係ないのでは?と思ったが、反論するわけにもいかず、「そうですね」と曖昧に答えた。

彼女、か。
確かに、家に誰かが待っていてくれるのは嬉しい。
一人暮らしのマンション生活。



今日もまた、誰もいない部屋に帰るだけ。



「………」
いつものようにオートロックの自分の部屋の鍵を開ける。
時間は夜の10時を回っていた。
部屋の大きさは1LDK、一人暮らしには十分だ。
「………?」
ドアを開けて気づく。
電気が、ついていた。
消し忘れてしまったのかと、自分の不注意さにため息を吐きながら靴を脱ぐ。
鍵を玄関先に置くと、ネクタイを緩めながら奥の部屋へと向かう。
ドア1枚隔てた、名ばかりのリビングルーム。
光はそこから洩れていた。


「…………!?」
小十郎はドアを開けて、固まる。
部屋には、先客がいた。
「よっ、小十郎」
よく見知った、顔。
「今日は遅かったな」
炬燵でくつろぎ、あろうことか、勝手に座イスまでも使っている。
「…………」
「おーーい、大丈夫か?」
「…………ま、政宗様!?」
「あ?」


座イスにもたれながら、そう返事を返す青年。
彼は、隣の部屋に住んでいる御曹司だった。
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