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□▼まさむにゃ様がやって来た
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まさむにゃ様が、サンタクロースに連れられて、小十郎のおうちにやって来ました。



「よぉ、俺、まさむにゃってんだ。よろしくにゃ」
小十郎は、なんて無礼なやつだと、まさむにゃの存在を無視します。
そして、サンタクロースなんてものを信じるのは子供だけだと、自分に言い聞かせます。
これは、なんらかの夢を見ているんだと、そう思うことにしました。


「…ん、にゃ……無視するにゃよ。俺、相手してくれにゃいと、寂しくて死んじゃう………かもしれにゃいだろ?」
首輪に付けられた鈴がチリンチリンと音を立てながら、まさむにゃは一生懸命に小十郎に話しかけます。
チリンチリン……。
その音の煩さに、小十郎は仕方なく話を聞いてやることにしました。

「俺はまさむにゃって言って、クリスマスの夜にだけ現れる聖なる聖なるにゃんこ様にゃ」
………可哀相に、どこかで頭を打ったんだな、と小十郎はまさむにゃの頭を撫でました。
「にゃ///……くすぐったたいにゃ……//」
それを聞いた小十郎は、一瞬、撫でるのを止めました。
「にゃ……?なでなでは終わりにゃ……?」
見上げてくるまさむにゃの期待に満ちた目が眩しくて、小十郎の胸をドキッとさせます。
よくよくまさむにゃの顔を眺めて見ると、右の目が白く濁っています。
まさむにゃは
「生まれた時から見えないにゃ……」
と言います。

小十郎はそんなまさむにゃがひどく可哀相に思えてなりませんでした。

まさむにゃの目の代わりになる、何か良いものはないか……小十郎は部屋の中を漁ります。
見つけたのは、小さな眼鏡でした。
それは元は、小十郎が以前大事にしていたサンタクロースの置物の眼鏡でした。

「……にゃ?」
まさむにゃは、小十郎に眼鏡を貰うと、鏡に自分を写しました。

「こじゅうろ、これイケてるにゃ♪」
まさむにゃは鏡の前で、いろいろポーズを取って、その眼鏡と自分を見ているようでした。
それを眺めていた小十郎に、思わず笑みがこぼれます。

「にゃ、こじゅうろが笑ったにゃ」
それを見たまさむにゃも嬉しそうでした。


そうして、二人の生活はクリスマスを機会に、始まりを告げるのでした。


にゃんにゃん(終わり)

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