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□▼隣の御曹司は、料理下手
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家に帰ると、いつも一人だった。
親父はいつも会社に仕事に追われて、家にいることなんてないし、お袋は俺より弟の方が大事なのだろう、顔すら見せようとはしなかった。
だから、親父がたまに連れて来てくれる小十郎には本当に世話になったし、感謝もしている。
小十郎にとってみれば、俺なんてただのガキ、面倒を見なければいけない知人の子供に過ぎないのかもしれない。
だけど仕方なく、俺に付き合ってくれている……ようには見えないんだよな。
……俺の勘違いかもしれねぇけど///


というわけで、やって来たわけだ、小十郎の部屋の前に。
マスターキーを手の中で弄びながら、俺はそっとドアに耳を当てる。
音はしない……それもそのはず、今の時間は会社にいるはずだ。
俺は、今日の講義を休んだ。別に聞く必要もないつまらない講義だったので、少々どうってこともない。
マスターキーを通すと、ドアは簡単に開く。本当は犯罪沙汰だが、小十郎なら許してくれるはずだ。
この前も炬燵で寝てても怒らなかったしな。


っと、俺、今日は炬燵で寝るために部屋に入るんじゃねぇんだからな。

たまには、俺が小十郎の世話してやろうじゃねぇかってことで部屋に入るんだ。
そう、これは、実はかなり前から考えていたことだ。
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