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□A darling person Y
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あの手紙を渡した時の伊月の顔が忘れられない
少し傷ついたような、悲しそうな顔をした笑顔
何がいけないのか分からないで居る俺にどうしろと言うのだろう
何を考えてあんな表情をしたんだ...?



あの手紙を渡してから何日かたった
あれから俺たちは話すことが減った
その1日前から話してないけど、別にそれは良かったんだ
話して無くてもなぜか俺にとっては心地のいいものだったから


「日向、知ってるか?」

「何が?つーかいきなり知ってるか?って聞かれて知ってるって答えるやつ居ないだろ」

「そんな答えは別に望んでねぇぞ?」

「...で、何だよ」

「伊月、居るだろ?」

ため息混じりに言えば伊月の話題らしい
俺の心臓はなんでかしらねぇけどすげぇドキドキしてて...思わず首を傾げた

「...居るな、それが?」

「付き合ってんだとー!相手誰だと思う!?」

その言葉を聞いた瞬間俺の頭の中は真っ白になった

「...しらねぇよ」

そう答えるのが精一杯で考える気もなかった
多分...いや、絶対あの子だろう
何で俺はこんなショック受けてんだよ...

「村松聖華って子なんだけど...隣のクラスの、知ってるか?」

「しらねぇよ、興味ねぇし...」

早く終われよ、こんな話聞きたかねぇ
やっぱ村松さんじゃねぇか...
なんで付き合ったんだよ伊月、一言言ってくれりゃぁいいじゃねぇか...
なんでこんな怒れるんだよ?
イライラする...無性に壊したくなる

なんでこんな黒い感情が渦巻いてんだよ

嫉妬なんてしてんじゃねぇよ...
かっこ悪い、俺は男だ、伊月も男で好きじゃねぇ
好きじゃねぇのになんでこんな村松さんが...

好きなんだ...
認めよう、認めたくなかったこの気持ちを認めてしまおう
今頃認めたって意味無いけど、アイツへの気持ちも変わりないけど
今好きなのは伊月なんだ
こんなに好きになるなら...もっと早くに言うべきだったんだ

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