**

□A darling person T
1ページ/1ページ


俺の目の前の男の子
男の子の癖に可愛くて、恥かしがり屋で、控えめで、いつも笑ってて、
それでいて泣き虫だった

「...じゅん...ぺぇー...やだよぅ...」

泣き腫らした目を擦ろうとする手を掴んで止めさせる
血が出るんじゃないかってほど擦るもんだから見てる俺が痛い
真っ赤になった目は綺麗で、うさぎみたいな目をしていた
手を掴んでいるせいで目からはボロボロと涙が落ちていくのを見ていると俺の心が痛くてそれを止めるかのようにアイツの頬に手を伸ばし涙を止めようとする
それに逆らうかのようにとめどなく落ちてくる涙にどうしようもなくなり子供なりの笑顔を見せて言った

「あんま泣くなよ...うさぎになちゃうぞ」

「うさぎさんやぁ...っじゅ...ぺぇといっしょが...いいもんっ」

冗談で言った言葉が本気で返ってくるとは思わずに言ったのになんて可愛いんだろう...
俺にいつも引っ付いている男の子
この子を見たくてここの保育園に見に来る親も少なくはないと母から聞いた
そんなアイツが俺を選んでくれたのだから嬉しい
だから俺は誓うんだ
俺とお前に...すべてをかけると...


「分かったから...俺が大きくなって...しゅんも大きくなったら結婚しよう?これからあえなくても...俺があいに行くから、そんでしゅんのおかあさんとおとうさんに言って俺が...しゅんとくらすから...泣くなよ」

「...っふぇ...けっこん...する...!じゅんぺぇーと...」

「うん、『約束』な?」

「うん!...絶対だよ?」

そう言ったアイツの頭を撫でた
そう...これは『約束』
俺達が小さかったころの...精一杯の『プロポーズ』

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ