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□WOLF
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俺から逃げることなんて無理なのに



「来ないでっ…」

「何でだよ?俺はお前を愛してやってんだ。それがお前の望みだろ?」


お前は願っただろ?愛が欲しかったんだろ?

その愛は誰からかなんて知ったこっちゃねぇ。だから俺が愛するんだ


鍵を掛けた部屋の隅へ逃げる炉威を追い詰める

恐怖に怯えた目で俺を見上げる


「オイオイ。そんな顔すんなよ。」

「いや、こないで!止めてよ!」

「なーんだよ。俺はまだ何もしてねぇじゃねぇか…」

「お願いもう良いから!もう私の時間なんてあげるから!だから止めて!」

「過去が無くなりゃお前は消えるんだぜ?それでもいいのかよ」

「いい。私はもうどうなったっていい。」


小刻みに震えながら炉威は頭を抱えて縮こまった


俺は溜息をついて炉威の過去へ飛んだ




そして過去へ辿り着く。ここはさっきの年とあんまり変わらねぇな…


ふとある家族に目が行く

あれは……


「炉威…」

愛なんかもうとっくにあるじゃねぇか。なのに何で…?


俺は気になってそこからもう少し進んだ未来へ行った


たどり着いたのは運良く炉威のいたあの家だった

中からは女の叫び声。そして炉威の泣き声



「止めて!もう嫌だ!お母さん!お父さんが死んじゃう!!」

「私はこの人を殺して死ぬの!一緒に天国へ行くのよ!」

「ダメだよ殺しちゃダメ!!やめてよぉ…止めっ…」


泣き崩れる炉威。事切れる炉威の親父。自分の喉を包丁で切り裂く母親


こんなことって本当にあるんだな。



俺は現代へ戻った







「な、何で…」

「炉威」

「ッ!」


俺は力一杯炉威を抱き締めた



「もう一度。もう一度お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやる。」


炉威の呼吸が乱れてきた。泣いているのか?しゃくりあげている。泣いてんのか…


すると炉威は俺の背中に腕を回した


「少しだけでいいから……あと少しだけでいいからこのままでいて…」




俺は返事のかわりに炉威の髪をそっと撫でた



「炉威。俺の望みを聞いてくれ」

「イマジンの?」

「ああ。俺の望みだ」

「いいよ」


何故、こんなにも優しく接してくれるんだろうか。さっきまで俺を怖がって近寄るだけで泣いていたのに。
今は抱き合っている。炉威は笑っている


「俺に、お前を護らせてくれ。愛させてくれ。」



炉威は俺の肩に顔を埋めてうん、と笑った




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