short

□Deneb
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 ほら見ろ、アレがアルタイルだ。隣がベガ。

 綺麗だねー…

 そしてアレがデネブだ。

 









「―――……」



空を見上げるとはくちょう座が見える。
今日は晴天の星空。


過去に彼が教えてくれた星座

そして大三角形


冬よりも大きな大三角形を見て私は思い出した


「どこ行っちゃったんだろ…デネブ」



そう言ってはくちょう座のデネブを見つめると、返事をするかのように瞬いた


イマジンと人間は結ばれないんだね。
人間なんかに生まれてこなきゃよかった


昔の私がそう言ったらきっとデネブは怒るだろう


「人間なんかに生まれてこなきゃよかった……っ…」


声に出せば涙が溢れてくる
夏の夜、一人展望台で静かに涙を流す



 俺はイマジンだから炉威とずっと一緒にいられない。

 わかってるよ




 でも、俺は…

 デネブ。……言葉に出すと、願いは叶わないよ





私は聞きたかった。でも言わせたくなかった

人間がイマジンを愛してはいけない。



「デネブ……」


そう言って目を閉じると足音が聞こえた



「お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやる」


私は聞きなれた声に背を向けたまま呟いた


「……ずっと、一緒にいて」



するとふわりと体を包まれた


「炉威の払う代償はただ一つ。炉威自身だ。」








 言いたいことわかるか?俺と結婚してくれ




end

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