boundary of spacetime

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辺りを見渡す。私達以外誰もいない様に見えるけど、カイ曰く、外には何体もイマジンを並べているらしい。
カイは私の横で黒い手帳をペラペラ捲っている。

「それ何?」
「コレ?…イマジンを飛ばす時間とか、日にちとか、そういうの決める為に持ってる。」
「そうなんだ…」

カイは相変わらず人懐っこく笑いながら私を見ている。…こっちは状況が全く飲み込めず、ぎこちなくカイと接していた。
ペラペラ変わるページを見ていると、あることに気付く。

「…炉威?」
「そう。俺、お前見つけた時から忘れないように書いておいたんだ。」

そこまで想ってくれていた。
心の中で、カイは悪い人じゃないと誰かが言っている。
ぼーっと考え込んでいると、カイはいきなり立ち上がって私に手帳を渡した。

「え…」
「持ってろよ。来たみたいだし。」

カイの指さす方向から、微かにエンジン音が聞こえてくる。デンバートだ。良太郎が来んだ。
私も立ち上がると、カイは一歩ずつ、ゆっくり前に進んで止まった。
途端に壁が破壊され、デンバートごと良太郎が突っ込んできた。
あれ、二人…?

「炉威!!」

良太郎は後ろに乗っていて、運転していた方がヘルメットを取った。

「モモ…?」
「見つけたぜ。」
「炉威!」

良太郎とモモがこっちに来ようとした瞬間、上からイマジンが4体降ってきた。

「そう簡単には返さない。てか…返す気、ないって気がする。」
「何やってんだ炉威!早くこっち来い!」

足が竦んで動けない。カイに渡された手帳を抱き締める。モモは一瞬目を見開いて、眉を寄せた。
手には私のパスケースを握っていた。

「…良太郎。変身するぞ」
「うん。」

モモがパスケースを自分のポケットに入れると、良太郎はベルトを巻いてパスをかざした

「変身」

モモは光の粒となり、良太郎の体の中に入っていった。その様子を笑顔で見つめるカイ。
いつの間にか私は涙を流していた。

「俺、参上。」

「やれ。」

カイの言葉で、モモ達は走り出した。



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