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□りめんばー・みー
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君が消えてしまうのも、婚約者が居るのも、最初から知ってた。

でも好きだった。





最後のカードを使い、侑斗は消える。


「じゃあな」



素っ気ない何時もみたいな挨拶。

もう聞けなくなるその声。


私は涙を堪えることが出来なくて、ただ泣いて侑斗を困らせてしまった


「んだよったく……」


足音が近づいてくる。
そして体を包まれる


「俺らがさ、初めて会ったとき、お前迷子だったよな」


そう言えばそうだったよね。時の砂漠で、侑斗に拾われた。

イマジンに置いていかれて…

不甲斐ない自分を思い出して思わず吹き出す。
このまま笑って最後を迎えよう。そうすれば侑斗も笑って消えていく

笑顔を作って涙を拭う。でもまだ溢れ出てくる


「去年さ、ペルセウス座流星群すごかったよな。」


声を振り絞って「そうだったね」と答える

侑斗の温かい掌が私の頬を挟み込む



涙で滲む侑斗は私と同じく感情を剥き出しにして涙を流していた


「炉威……ッ」

「っく…侑、斗」



侑斗は私を強く抱きしめて泣いていた


「俺な、ずっとお前が好きだった。ずっと一緒に…ッ…一緒にいたかった」

「侑斗、侑斗ッ……」




どちらともなく、最後の口付けが交わされた




唇の温もりは、夏の星空へと消えていった








椎茸嫌いな君も、プロレス強い君も、星が好きな君も、
大好き。大好きです


大好きでした




(運命って残酷だ)
(ずっと一緒に居るからな)
(約束だ)




「嘘つき…」



鷲座は、自己主張するように、燦然と輝いていた




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