short

□未
1ページ/1ページ




「ただいまぁ〜」


バイトでクタクタだ。店長ってば女の子に無理させすぎだってばよ。
夏だからアイスの入荷が増える。その仕入れは涼しくて好きだから良かったけど、いい思いをしたからちょっとは苦しみなさいって鬼か。

二時間くらいかけて商品棚整理。その後お昼、ラッシュ時にレジ担当、午後4時にもレジ担当。

そして10時になってしまったわけだ。


ライブラリーから入る。暗いけど月明かりで辛うじてテーブルとか見えてる。

カウンター席の椅子にパーカーを掛けて星でも見ようかと窓に近づく。


「おせぇじゃねぇか」

「もっ、桃…ビックリした…」


パジャマに着替えてないってことはまだ起きてたんだな…なんか眠そう。
こっちは生憎逆に目が冴えちゃって眠くない。こりゃ明日は寝不足だな。

桃は私の横に立って星空を窓を通して見上げた


「やっぱ、月が邪魔だな…」

「そうだねー。新月だったら綺麗に星が見えるのにね…」

何か飲もうかと思ってその場から離れようとした瞬間、桃に腕を引かれた


「……うん?」


桃は私の背中を柱に押し付けると、両腕を片手でまとめて頭上に持っていった

「…え?」

思考停止。

な、なんですか?またナオミさんのゴールドジェントルマンコーヒーを…!?

何て艶かしい目付きなんでしょう。

桃は私の髪を弄り出した


「桃…?」

「うるせぇ。喋んじゃねぇ」

「……」


コイツ


「お酒飲んだでしょ」



そう言って睨むと、単純な桃はやべぇ、みたいな顔をした

「飲んだでしょ」

「っ……の、飲んでねぇけど?」

「飲んだでしょ」


私は束縛されたまま溜息をついた。ビックリした。てっきり怒ってるのかと。私何かしたのかと


すると桃は突拍子もなくキスをしてきた。

啄むようなキスから深いキスへ。
調子に乗るなよ…調子に乗るなよぉぉッ!

惚れてまうやろッ!?


苦しくなって桃を引き剥がそうとオールバックに手をかける

グイッ

「いでででででで!止めッ、マジ禿げる!ごめんなさい!」

「飲めないくせに飲まないの!もう。」

「チッ。」

「逆ギレしないの!」



カウンター席の明かりを付けて水を飲む

隣に桃が座る。


「……悪かった」

「目が反省してない。」

「チッ、バレたか。」

「え"?」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ