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□気付いた
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炉威と一緒に晩ご飯を食べた。いっぱい話せて嬉しかったんだがー…

何でこんなに気付いてくれないんだろう。俺なんて眼中にないとか…?

だとしたら俺もう辛すぎて死んじゃう。

侑斗はそんな俺を気遣って席を外してくれた。
晩ご飯の前に炉威は何か思いついたような顔をした。でもそれが俺にとって良いことなのか分からない。

付き合ってもないのに別れ話を切り出されているような気分。

食器を片付けて炉威の居る車両に戻ると炉威に腕を掴まれた

「ね、外出よう!」

「え、えぇ?」

「ダメかなぁ、」

「いいぞ!一緒に外へ行こうか」


俺はデート気分で炉威と外の世界へ出る。人気のない、静かな丘。ゼロライナーもそこへ停めておいた


「キレー!」

空を見上げると夥しい数の星に埋めつくされていた。

確かに綺麗だ。侑斗が星に興味を持ったのもわかる気がする。


「どうしたんだ炉威?いきなり外へ出ようなんて…」

「もう少し、空見て待ってて」


炉威はその場に座って星空を見上げた。俺も炉威の横へ腰を下ろして星空を見上げた



すると光るものが空を駆ける



「あ…」

「見えた!?」

「あ、ああ!流星見えたぞ!」

「あーほらほら!二つも!」

「すごいなぁ!」

「こと座の流星群だよ!すごーいなぁ…あ、また!」



まさか、これを見に?俺と一緒に?

「弁慶と一緒に見たかったの」

「え…」


炉威を見ると、僅かにしか見えないが、顔が赤くなっていた。

よ、し。



「炉威、俺は炉威が好きだ。……俺と、ずっと一緒に居てくれないか?」


そっと炉威の手を握る。
炉威は嬉しそうに笑って俺に抱きついてきた


「私も、弁慶大好きだよ…」



やっと、やっと気付いてくれた。







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