short

□そんな人間を愛してやまないんだ。
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「・・・アハハッ!マジで?チョーウケる!」


「マジマジ、ヤバかったー」


「やっぱ、やめとこーかな?」


「いらっしゃいませー」


「この時間帯、学生ばっかだな・・・」






東京 池袋。



人間が思い思いの言の葉を口にしながら、闊歩する。そして非日常が繰り出される不思議な街。
そんな街を、ある人間はこう言う。



――池袋ってのは、"生きる街"だ――



と。



日常に飽きた池袋という街が無作為に主人公、サブキャラ、悪役、キーマンなどの登場人物を引っ張り出す。
そして、"自分の手の中"でおかしな物語を作り上げていく。
もしかしたら、俺もその一人なのかもしれないね。

でも、





でも、そんなことどうでもいい。





俺は、そんな街の気まぐれによって選ばれた、人間を見ていたいんだから。




いつだって蚊帳の外。

物語を面白おかしくさせるための編集者。

そんな立場がとても心地いい。


人間という"カテゴリー"にはいっていても、物語の主人公でも、脇役でもない。
・・・言うなれば"裏方"だろうか。

実際に物語の中に入っていくのも悪くないかもしれない。でも俺は、ここでいい。
いや、ここがいいんだ。
登場人物達がどう動くのか。
こんな時、どういう反応を示すのか。


あぁ、考えただけでも面白い。


人間っていうのは、一人じゃ生きれない。


何かに縋って、何かを自分の糧にする。


それがなければ、ただの生きる屍だよ。



けれど、それを欲するが故に、



我先にと押しのけ、



時には傷つけ、



殺し、



たとえ自分が何色に染まろうと、




それを掴むんだ。




馬鹿だろう?
でも、それが面白くて





   愛おしくなる







俺は人間が好きだ。


愛してる。


博愛をこえて、


狂おしいほどに、ね。
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