小話(21〜40)

真昼の攻防
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ポン!
バリ。
むしゃむしゃむしゃ。

「か、葛西さん…それは坂本が楽しみにしてた、ちくわパンじゃないのか?」
西島がおそるおそる呼びかける。

葛西はぎろり、と西島を睨むと、
「オレァ腹が減ってる。昼にいないアイツが悪い」
と、ほんのひと口分だけ残すと、次のコーヒーロールに手を伸ばした。

坂本は、何やら後輩に相談事を持ち掛けられ、四限をまるまる抜けたまま、まだ戻らない。

葛西は、面白いほど不機嫌丸出しで、コーヒーロールも四分の一程しか残さなかった。

その直後、
「オレのちくわパンとコーヒーロールの匂いがするっ!!」
鼻をすんすんいわせながら、坂本が教室に戻ってきた。

そして、机の上の寂しいパンの名残を発見する。

「マイガッ!かーさーいー!!」
「んだよ」
拗ねたような顔で葛西は、近寄ってくる坂本を見上げた。

「何でお前、いっつもこんな食うの!?半分だけだっつってんだろ!!」

えぇえええぇえ!?
周囲は驚愕した。

は、半分までオッケーなんだ坂本?ひと口とかじゃなく。
甘い!甘すぎるよ!!
どーゆー基準なんだよ、と教室の連中は一斉に思った。

そういうことが何度も何度もあった。

坂本は、葛西と自分とで「半分な」と分けること自体が好きなのだとか。
葛西は、それを分かってて余分に食って、坂本にぶーすか言われた上で甘やかされたいんだとか。

それは今はもう、周知の事実なのだが。

でもな、坂本。
んな甘いことやってるうちに、ひと口どころか半分どころか、自分が頭からまるごとペロリいかれちゃってんの、気づいてないの、お前だけだからな。


本日は難易度の高いコロネ。
攻防やいかに。


ーーー真昼の攻防ーーー



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