小話(21〜40)

花のような願い
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坂本にとって、葛西という男は特別である。もうずっと。

そんな坂本は、情の深い男であった。

そういう人間に、長く心をかけられ、葛西は何を感じたろう。
それは与えられることによる充足よりも、与える力の豊かさであったかもしれない。

ある日、
「坂本がオレを思うような深さで、オレも人を愛せたらどんなにか」
と、葛西が願っていることを、坂本は知る。

その願いを、坂本は、花のように愛しいと思った。
大切にしようと決めた。

何よりも。

自分よりも。

そうして、
葛西が、「坂本を」ではなく「人を」と求めた、その時に、
終わりが始まったことを、
坂本だけは、知っていた。


ーーー花のような願いーーー



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