SYM
□Hello
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床でのたうちまわってる人は長髪で黒髪。少しウェーブがかかってて冠?みたいなのをかぶってる。
ほりが深くて髭があってどことなく海賊映画の主人公を思わせるような顔立ち。
「大丈夫ですよ。ごめんなさい、びっくりしたよね」
にこにこと人に警戒心を持たせないような雰囲気。にはにははにかみながら私に向き直った。
「ほ‥本当ですか?」
なんだか間が抜けちゃうなぁー。こっちまで気が抜けちゃう。
「彼は嘘は嫌いなので安心して下さい」
横からまた優しい声が聞こえた。向き直ったらこの人も邪心なんて少しも持たないような目で私を見てる。
見た目は何だか修学旅行を思い出すような‥。
「僕たち隣に住んでる者なんですけど」
「あ‥あぁっ!」
忘れてた‥
「どうかされましたか?」
「私今からバイトなんです!そろそろ行かなくっちゃ‥」
「それは大変、すぐ行って下さい!」
「で、でも何か用があったんじゃ‥」
「え?‥あぁ、いつも騒がしくしてしまってるのでお詫びとまだ挨拶してなかったものですから挨拶を‥と思いまして。」
「あ、そうだったんですか‥」
拍子抜けだ。
ドアの目の前にいたんじゃ何か急用だとばかり思っていた
から。
「じゃぁバイト終わったらお部屋にノックしても大丈夫ですか‥?」
「大歓迎だよー!」
天にも届きそうに手を広げて長髪の人がすくっと立ち上がった。
「僕はイエス!聖イエスっていいます。よろしくね」
「あっ‥はい。私は名無しさんっていいます」
「じゃぁ名無しさんさん。私は聖ブッダです。よろしくお願いします。後お時間大丈夫ですか?」
「え?あ‥あぁー!行かなくちゃ!」
私は走り出した。
イエスにブッダか。今まで宗教なんて興味ないし全く信じてなかったけどなんだかこの出会いは。
運命かもって。