デジモン

□初恋
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カタカタカタッ



放課後の小学校のPC教室に一人、中学校の制服を着て作業している者がいた。 


彼の名は泉光子郎。


かつてここで自分で設立した部で活動していた。
今こうしてここで作業しているのには訳があった。
ふと画面を見てみると黒かった点が消えた。




「よし。これで今日のノルマは達成ですね」
「んー」




光子郎は嬉しそうに微笑み、パソコンから手を離し伸びをした。
そんなときだった。
後ろから冷たいものが光子郎の頬に触れたのは・・。



ガタガタッ、ガタン!! 




「〜〜っ。なっなっ!!」
「あははっ。驚きすぎだろ」




驚きのあまり椅子から転落した光子郎を金髪の少年が笑ってみていた。




「もー、驚かせないで下さいよ。ヤマトさん」
「それにしても驚きすぎだろ。これぐらいでさ」




ヤマトの手には冷えた缶コーヒーが握られていた。
椅子を直し終えた光子郎にそれを投げ渡した。




「何がいいか分からなかったからコーヒーにしたけど平気か?」
「ええ。あっ、今お金を」
「いいよ。俺の奢りだ」
「でも・・」
「いいから有り難く受けとれよ」
「じゃあ、ありがたくいただきます」
「そういえば、今日はバンドの練習があったのではないのですか?」




光子郎は缶のプルタブを開けながらヤマトに尋ねた。
ヤマトは今日、バンドの練習でこれないと聞かされていたのだ。
ヤマトは光子郎の問いに呆れたようにため息をついた。




「それが、メンバーのアキラが熱出して練習がなくなっちまってな」
「そうだったんですか」
「ああ」




「なんとかは風邪引かない」って言うけどあれはやっぱ迷信だなとヤマトは笑った。
光子郎はそれに「そうですね」と頷いた。
それから二人は世間話やバンドの音源の編集のことなど話題にして時間を潰した。









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