デジモン

□手を伸ばした先の金を
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「ねぇ君、どこから来たの?」

「名前なんていうの?」




僕、高石タケルはある人が通う学校の校門へと来ていた。
しかし、待ち人は現れず先に出てきたこの学校の女生徒数人に囲まれ、話し掛けられていた。
元々、母方の祖父がフランス人で僕はその血を四分の一流れているおかげで金髪・碧眼といった日本人離れしている容姿をしていた。
そのせいか、昔から色々な人から声をかけられていてその中でも特に女性が多かった。
昔は小さかったせいか「可愛い」と言われていたが最近はバスケを始めたおかげで身長が伸び「格好いい」と形容されるようになっていた。
まぁそのせいで声をかけてくる女性も多くなったのだが・・・。


ここにいる女生徒もその中の一人にはいるわけだ。



そんな女生徒からの質問に曖昧に答えながら僕はチラッと昇降口から出てくる人を確認した。
するとやっと待ち人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
急いで僕はその人の名前を呼んだ。





「お兄ちゃん!」

「た、タケル??」






いきなり呼ばれた兄、石田ヤマトは僕の実の兄だ。
かつて僕が小さい時に親が離婚して父方に兄が、母方に僕が引き取られた。
そのせいで苗字が異なるのである。



お兄ちゃんはいきなり現れた僕に驚きを隠せず、目をパチクリさせながら僕の下へと駆け足でやって来た。




「お前、何で此処にいるんだ?」

「ちょっと近くまで来たから一緒に帰ろうと思って」

「近くって。お前学校は?」

「創立記念日で休み。それよりここから離れない?」

「え??」




周りを見回してみるとさきほどよりも女生徒の数が増えてきていた。
僕と同じ容姿を持つ兄はここ最近、バンドを始めて人気があるせいか
多くの人が知っているせいかファンの子が集まってくるのも早いのだった。



「〜〜〜〜。い、行くぞ!タケル!!」

「は〜い」




そういうとお兄ちゃんは僕の手を取ってそそくさとその場を後にした。
後ろでは残念そうな声を出す女生徒が大量にいた。
一応、サービスという形で僕は振り向きざまにニッコリと微笑みを浮かべてあげた。
するとキャーッという女性の黄色い歓声が上がった。
またお兄ちゃんに視線を戻すとさっきの歓声なんて聞いていないようで、顔を真っ赤にさせながら必死で歩いていた。





クスクス。相変わらず恥ずかしがり屋なんだから・・。




お兄ちゃんは昔から人が多い所や人に囲まれたりする環境が苦手で、一人で静かに過ごしている方が好きだった。
前にバンドをやるということを聞いた時には驚きを隠せなかった。
なぜお兄ちゃんがこんな風に変えたのはあの人の存在があったからだと思う。
そう、あの人、八神太一という名の人物が・・・。



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