おお振り
□10月16日。
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―パァンパパ−ン!―
「何!?銃声!?オバケが銃持ってんのって何かずっこくねー!?」
田島の混乱もいよいよ頂点に達した時、辺りが急に明るくなった。
「「ハッピーバースデー田島!」」
暗所からいきなり明るくなった眩しさに目が慣ると、そこには野球部員全員とマネジ、モモカンにシガポの姿があった。田島が銃声だと思ったのは、皆が鳴らしたクラッカーの音。
「何だよー!皆死んじゃったのかと思ったぞー!」
「おいおい、そりゃ思考が極端すぎんだろ!」
どうしたらコイツの頭はそこまでぶっ飛べるんだと言わんばかりに突っ込む花井。
「だってさ!花井に電話したけど使われてない番号だって!」
「んなワケないだろ、ちょっと携帯見せてみな。…あ、やっぱり。お前ー、俺こないだ番号変えたってメールしただろ?登録し直してないだけだよ」
「嘘!?なら今登録し直すから番号言って!口で!」
「今直しといたからもう大丈夫だっての」
「おっ、さんきゅー!」
さすが花井、もはや西浦の母だ。
「にしてもお前、すげーびびり様だったなー。見ろよ、水谷なんて笑い堪えすぎてほぼ死にかけてんよ。」
そう話す泉の隣には顔を真っ赤にしてお腹を抱えている水谷が床に転がっていた。
「ぶははっ!オバケだってさ…!しかも銃って!!ぶはっ!」
―ゴスッ―
「いってー!」
「あ、わり。んなとこ転がってんなよ」
謝っているのに謝っていない感の拭えない阿部はどうやら水谷のわき腹を蹴ってしまったらしく、さっきまで笑っていたはずの水谷が今は悶えていた。
「んなことよりホラ!三橋が何か言いたいことあるんだってよ」
「あ、う、お…!」
阿部に後ろから押された三橋は今日もやっぱり挙動不審で。それでも何かを懸命に言おうとしているのを、田島が理解するのは早かった。
「おー、三橋!ありがとな!」
「何で今のでわかるんだ?」
「ほら、通じるものがあるんだよ、天然(馬鹿)同士」
未だ三橋を理解しきれない阿部がそう漏らすと、栄口から何だか含みを込めた返答が来たがあえて気づかないフリをすることにした。
「さ、みんな歌うんでしょ!?電気消してやるわよー!」
モモカンの掛け声と共に再び電気が消され、バースデーソングを歌いだす。
パーティーはまだ、これから。
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