おお振り
□夜道
2ページ/8ページ
いつもと同じように部活を終え、いつもと同じように皆で帰り、いつもと同じように皆と別れ、空を見上げる。
「星…きれいだ、な」
いつもより輝く星空に気をよくした三橋はいつもと違う道から帰ることにした。
曲がって、進んで、また曲がって、進んで。
慣れない道から帰るのは不安もあれど、何だか冒険している気分になる。
だが夜は街を昼のそれとは別の姿に変える。だからと言って住み慣れた者にとってその変化は些細なもの、のはずなのだが。
「あ、れ、こ…こっちかな?あっち…かな?」
数分後には、夜道に迷う可哀想な少年が夜の街をさまよっていた。
「ど、うしよう」
ここがどこだかわからない。オマケに乗っていた自転車に感じる違和感。
「パ、パンクしてる…!」
もはやパンクしているのは自転車だけではなく、三橋の頭もだろう。
仕方がないので電話をして誰かを呼ぼうとしたが、問題なのは誰を呼ぶかだ。