おお振り

□10月16日。
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「ちわっす!…アレ?」

田島が野球部らしく挨拶をし周りを見回すと、いつも誰かがいるはずのグラウンドには誰もいなかった。部室の方も確認したが、やはり誰もいない。
ひょっとして早く来すぎたのかとも思ったが、それは同じ9組のメンバーが先に行っていると教室を後にしたことを思い出し打ち消された。

「えっ!?何で!?なんでっ!?今日部活ないなんて言ってなかったよな!?きーてないぞ!あーもー、おーい!誰かいないのかー!?」

いないとわかっていても叫んでみる田島の声はもしかしたら学校まで聞こえたかもしれない程大きかった。だがそれでも返事は返ってこない。

(とりあえず電話だ電話!花井、花井!)

キャプテンなら何か知っているだろうと携帯を取り出しかけてみる。だがしかし聞こえてきたのは例のアナウンスで。

『おかけになった電話番号は、現在、使われておりません。番号をご確認の…』

「うっそー!?どーゆーこと!?俺まだ寝てんの!?起きろ俺!」

もはやワケがわからない。
今までのことは全部夢だったんじゃないかと思うくらいにパニックを起こした田島の耳に、呼び出しの放送が聞こえた。

〜1年9組の田島君、至急、視聴覚室まで来てください。繰り返します…〜

「呼び出しー!?こんな時に何だってーの!」

消えた野球部員達が気になるものの、放送を無視することもできないのでしぶしぶ視聴覚室に向かうことにした。


−コンコン−

「しつれーします!」

視聴覚室のドアを開け中に入ってみると、室内は真っ暗で奥の方にぼんやりと明かりが見える。

「うわっオバケ!?まさか皆アレにやられたのか!?俺も殺される!ゲンミツに!」

とにかく逃げようと田島が一歩後ろに下がった瞬間。
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