おお振り
□M君が見てる〜ミハシクンガミテル〜
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(どうしよう、三橋が…)
短い一生を懸命に生きたいというかのようにけたたましく鳴き騒ぐ蝉の声。
今日も練習にはげむ西浦ーぜのクソレフト、もとい水谷文貴も例外なく、クソレの汚名を晴らすため(かどうかは知らないが)汗を流していた。
炎天下に気が狂いそうになる、なんて思っていたらふと誰かの視線を感じる。
(三橋が…見てる?うん、間違いないよ、俺を見てる!)
それは水谷の勘違いなどではなかった。三橋は間違いなく水谷を見ている。それも、もじもじと何か言いたげに。
(うわ、何か顔赤くない?何だよ、まさか俺に惚れちゃったのか!?まさか!いやでもあの様子は…マジなのかな。あ!きっと阿部がいるから言えないんだ!阿部って怖いもんな!それか恥ずかしくて言えないんだ!いいよ、三橋!何も言わなくても俺はわかってる!
俺も好きだよ三橋!)
そして視線を送り続ける三橋の心中はというと。
(どうしよう…水谷君、ファスナー開いて、る。
い、言った方がいいよ、ね…う〜)
水谷の気持ちはきっと届かない。