おお振り
□12月19日
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お昼ご飯も食べ終わり、外はポカポカいい陽気。そんな日に授業に出るのが何だかもったいなくて、泉の足は自然と屋上に向かい、そこに横たわる。
うとうとと目を閉じ始めたその時、カンに障るやかましい声が聞こえた
「あー、泉ったら授業サボってる。いーけないんだー。」
声の主は浜田で、泉は安眠妨害も甚だしいなどと、授業をサボっていることを棚にあげて考えた。
「何だよ、てめーもサボってんじゃねーか」
「俺は去年も同じ授業受けたからいーんですー」
そう言いながら、泉の横に寝転がる浜田
「つーか、何しにきたんだよ。」
「え、授業受けんのめんどくさくてさ。抜け出して来た」
「あっそ」
「嘘。授業も始まるってのに泉がいないから探しにきたんだよ」
「……恥ずかしいやつ」
「え?何て?」
ほんの少し照れを含ませポツリと呟いた言葉は浜田まで届かなかったようだ
「うるさい」
「何だよー、教えてくれてもいいじゃないか」
「…」
まさか自分が照れたなどと、死んでも言いたくない泉は口を閉ざしたままそっぽを向いている
「なーなーなー」
「うっせーなー。黙らねーとちゅーすんぞ」
「ちゅー!?」
「耳に」
「耳に!?」
追及を逃れるためにとっさの台詞を紡ぎ出した泉は、動揺しつつもそこは口がいいかも、何てモゴモゴ言っている浜田の腹を蹴りつけた
「ボ…ボディときたか…いいパンチだぜジョー…」
「あぁ?」
「すんません調子に乗りすぎました」
昔懐かしのジョークは若さ溢れる泉には通じなかった模様。(だが1つしか離れていない)
「わかったら俺の昼寝を邪魔するな。あと…」
「あと?」
「膝を貸せ」
「ああ、膝ね、膝…膝ァ!?」
予想外の言葉に驚きを隠せない浜田は何だかわたわたし始める
「黙って貸せ!」
「あっハイ!」
膝を枕に頭を置き、そのまま眠りにつく泉
たまにはこんな日があってもいいか…、なんて思ったのは浜田か泉か。
とうとう本格的に眠り始めた泉を見ているうちにうつらうつらと船を漕ぎ始めた浜田も、フェンスに背中を預け、いつの間にか眠ってしまっていた
「っんの馬鹿!てめーまで一緒に寝てどーすんだ!」
「だってー」
「だってもクソもあるか!間に合わなかったらてめーのせいだからな!」
結局、部活が始まるギリギリまで寝こけていた2人は大急ぎでグラウンドへ向かったとか。
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