おお振り

□12月11日
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舞台は部活前、人気のなくなった教室にて。

『阿部ー、今日誕生日だろ?』

『あぁ。そうだけど?』

9組に残った最後の二人は水谷と本日誕生日を迎える阿部だった

『じゃあさ、お祝いしなきゃな!ケーキ買って、ローソクつけて!』

『高校生にもなって誕生日会開いてまで祝われんのって恥ずかしくないか?』

『えー、そんなもん?ケーキ食いたくないの?』

『食いたいのはお前だろ』

『あ、わかった?』

『お前わかりやすすぎ』

生クリームが大好きな水谷は何か機会があればと常に目を光らせているらしい

『なーなー。お祝いしよーぜー。』

『いーよそんな、もうガキじゃないんだし』

『あべく、ん…』

そんな二人の背後からか細く声を出したのは、我らが投手・三橋くん

『お、三橋ー。聞いてよ、阿部ったら誕生日祝われたくないって言うんだぜー。』

『!…お、おおお』

『お?どうした三橋?』

『お、お、おれ俺…』

『落ち着けよ。何が言いたいんだ?』

『翻訳機(田島)呼んでくるか?』
このままでは埒があかないと、水谷は三橋の言葉を何故か解読できる田島を呼び出す提案をした。

『一応頼む』

水谷を目で送り、三橋に目線を戻すと三橋の目にはうっすらと涙が溜まり始めていた

『うわ、何だ!?どうしたんだよ?』

『お、れ、あべく…た…誕生、日…』

三橋の手には小さな小包が

『まさかコレ、俺にか?』

『う…ん』

『そうか…ありがとうな』
そう言いながら小包を受け取る阿部

『でも、あべくん…祝われたく、ないって…』

どうやら三橋が気にしていたのは阿部が誕生日を祝われたくないと思ったかららしい。そんな三橋に阿部は小さく笑いながら答える。

『あれは大勢に祝われたらって意味だし、三橋から祝われんのは嬉しいよ。』

『あべくんが、嬉しいと…俺も嬉しい、よ』

『三橋…』

阿部が何だか熱い目で三橋の肩に手をかけた瞬間

『あー!阿部が三橋にちゅーしよーとしてるー!』

『うわっ!田島!?』

『田島っ!声デカイ!』
廊下にも響く大声で騒いだ田島の後ろから走ってきたのは呼び出した本人、水谷。

『なーなーすんの?しねーの?』

『おま、何でここに!?』

『何でって、水谷に呼ばれたぞ?』

『水谷…てんめぇ…』

『何で怒るんだよー!阿部だって頼むって言ったじゃんかよー!』

自分で呼び出したことも棚にあげ、青筋たたえて怒りだす阿部

『うるせー!てめぇちったー空気読め!』

『ひでーよー!』

『なーなーちゅーはー!?』

『うるせー!』

周りがぎゃいぎゃい騒ぐ中、三橋は一人阿部に見つめられたせいで固まったままでした。

HAPPY BIRTHDAY阿部隆也!!

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