おお振り

□頑張れ僕らのクソレフト2
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「よう、水谷」

「あ、阿部」

珍しく阿部の方から声をかけてきたことに対し、少し疑問に思いながらも挨拶を返す。すると阿部は何だかご機嫌そうに言葉を続けた。

「俺…お前のこと勘違いしてたよ。これからは何でも相談乗るからな!」

「え、うん…ありがとう…?」

いつもと違う阿部の様子に頭がついていかないが、まあ仲良くしてくれるならいいかな、何て思いながらグラウンドのベンチに腰掛ける。

「阿部、何かいいことあったのかなー……え?」

何気なくホワイトボードを見た水谷の目に、信じられない文字が入ってきた

『水谷はシガポと付き合っている』

「うぇぇぇぇ!?」

危うくベンチから落っこちそうになりながらも何とか片手を地に付けただけでこらえた水谷。だがそれどころではない。

「何だよこれ!?俺と…シガポぉ!?ありえないありえない!まさか阿部、これ見てあの態度!?」

水谷は阿部って実は騙されやすいんじゃないのかなんてズレたことを考えるほどパニックに陥った。

「と、とにかく他の奴らに見られる前に消さなくちゃ!」

「み、水谷…く…」

慌てる水谷の後ろに、水谷の想い人(?)三橋登場。

「よりによって三橋っ!?違うんだこれは何かの間違いだー!」

「ひどいっ俺のことは遊びだったんだ!水谷君なんてもう知らないっ!馬鹿!クソレ!」

「違うんだー!」

走り去る水谷

「あいつほんとからかいがいあるなー」

「泉く、ん…」

実は泉が三橋の後ろでアテレコしてただけ。だが動揺しまくった水谷には台詞と口が合っていないことも、いつもと違う三橋らしからぬ口調であることにも気付けなかった。

「俺何も悪いことしてないのに、三橋の顔が見れないよー!」

よくわからない罪悪感にかられた水谷はまだ走り続けていた。

ドスッ

「うおっと」

「すみませ…!シガ…せんせ…!」

全力疾走した先の角でぶつかったのは、誤解の相手であるシガポ。

「や、水谷。あの落書き見た?何かよくわからないけど、付き合ってみる?」

「け、結構ですー!」

(てか、もう皆あの落書き知ってんのかよー!)


実は元々「モモカンとシガポは付き合っているのか?」と花井や栄口、沖や巣山が議題にあげてホワイトボードに書いたものを田島が書き換えて笑うだけ笑ったのち、消し忘れただけだったりする。哀れ水谷。


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