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□少女との距離は近づいて
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シャマルが出て行った部屋でザンザスは昼食をとろうと起き上がる

「くっ・・・・」

身体を起こしかけたが、あまりの痛みと痺れにベッドに倒れてしまった

「チッ・・・・」

目の前にはおいしそうなカルボナーラが湯気をたてているのに起き上がれなければ食べることはできない

何日も寝ていたからか空腹は限界まできている。

「名無しさん、こっち来い」

聞こえないだろうと思いながらも呼んでみる。
やはり、聞こえていないらしく近くにきている気配もなかった

仕方なくもう一度起きあがろうとしたとき

小さな音をたてて扉が開き名無しさんが顔を出した
ザンザスを見ると不思議そうに首を傾げて口を動かす。

少女の口からはなんの音も聞こえないが、おそらく呼ばれたことに対してなにか言っているのだろう

「来い」

と短く言えば、さっきシャマルがいたときに震えてたのが嘘のようにザンザスのところへ小走りで寄ってきた

「食わせろ」

ザンザスがそう言ってカルボナーラに目を向ける。
名無しさんは目を見開き、一瞬固まったが、小さく頷いてザンザスの枕元に椅子を持ってきて座った

クルクルとフォークが回り、パスタが絡みついていく。

クルクル

クルクル

クルクル

「・・・・・おい」

クルクル、クルクル、クルクル

「もうやめろ」

先ほどよりも大きな声で言うとピタリと動きを止めザンザスを見る名無しさん

「いつまで巻いてんだ」
ザンザスの言葉にハッとしたように皿を見て慌てて解き始める

ごめんなさい

と口が動くのがわかった
よく見ると名無しさんの顔が少し赤くなっていた
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