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□助けたのは小さな少女
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目を覚ますと、ちょうど扉が開き少女が入ってきた。
黒いショートヘアが窓から入ってきた風で揺れている。身長も低く、華奢な体つきをしている。首にはホワイトボードらしきものとペンが提げられていた
まだ幼い顔立ちの少女は俺を見て目を見開き固まった
「てめぇは誰だ・・・・」
少女は俺の質問に困ったように首をひねり考え込んでいる
しばらく考えて首に提げているホワイトボードに何か書き始めた
あいつ、喋らねぇのか?
そんな疑問を頭に浮かべ、少女を見る
しばらくして書き終わったホワイトボードをこちらに向けてきた
『初めまして。私は名無しさんといいます』
ボードに書かれた文字は日本語。どうやら日本人に助けられたらしい。
しかも見た感じ一般人でマフィアなどとは無縁の少女だ。
俺がいたアジトは一般人が住んでいるところから行くには治安の悪い地域を抜けないとたどり着くことはできないような場所だ
この少女はそんなところに倒れている俺をここまで運び、看護までしている。こいつは何者なんだ?
考え事をして反応しない俺に名無しさんは焦ったようにボードの裏に何か書き始めた。どうやら裏面にも書けるようになっているらしい
『あの、日本語読めませんか?』
見せられた文字は日本語。
読めないかもしれない相手に日本語で質問を書いてくるあたりこいつは少し頭が弱いらしい
「その質問、日本語で書いたら意味ねぇだろ」
俺に言われてやっと気づいたらしい。ハッとしたようにボードを見てまた何か書き始めた
『Can you read Japanese?』
こいつ英語できるのか
それにしても天然なのか?
「俺が日本語読めなかったらてめぇが書いたやつに反応するわけねぇ」
それでもわからないのか首を傾げている
「日本語でかまわねぇ」
と言ってやればやっと意味がわかったらしく、こくんと頷き、ボードにまた何か書き始めた
『昼ご飯食べますか?』
「あぁ」
女は俺の返事を聞くと走って出て行った
どうやら今は昼間らしい。俺が任務を終えたのは夕方だったからあれから少なくとも半日以上は寝ていたことになる
「チッ・・・・」