ShortxStory

□※深紅の瞳
1ページ/1ページ








薄暗い部屋。

ベッドの横にあるランプだけがぼんやりと私の顔を照らす。

そんな部屋の中で私はアノ人を待っていた。


深紅の瞳を持った、アノ人を・・。


だが、もう何時間も待っているが一向に来ない。



早く来ないかな・・・。



傍においてあったチョコを勝手に食べた。

チョコは口の中でスゥっと溶けて、すぐに消えてしまった。


甘い香りが残り、口いっぱいに広がる。



そういえばアノ人との初めてのキスをしたときも、チョコ食べてたな・・・。



突然私の部屋に来て、私のファーストキスを奪ったんだ。

初めてのキスはこのチョコと同じ甘い味がして・・・。



大好きな、私だけのアノ人。

もうそろそろ来るかな?



ガチャッ


ほら来た。


コツコツコツ・・



『お帰りなさい。』

「おとなしくしてたじゃねぇか・・・」

私に軽くキスをして、隣に座る。

『私はいつもおとなしく待ってますよ?』

「フッ・・・」


腰に手を回して私を引き寄せる。

私はまたチョコを口に入れた。

それを確認してからもう片方の手で私の顎をつかみ深く口付ける。

『んぅ・・』

息が苦しいのにとても心地よくて・・・。

「甘ぇ・・・」

甘いものは嫌いなはずなのに、「もっと。」と言うように下を絡めてくる。


そして私を押し倒し、


「もう息上がってんのか?・・・まだこれからだぞ・・・」

その顔がとてもかっこよくて、見とれてしまう。

でも私があなたの一番好きなところはその、美しいルビーのような深紅の瞳。

その瞳で見つめられるだけで溶けてしまいそう。


私だけの瞳。


その瞳は私だけを見ててね?大好きだよ・・・。




●●








[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ