刀語
□ほら、空へと翔ればいい
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「う〜っ。かまきりしゃあ〜」
「これくらいにしないと明日大変なことになるぞ」
「うぅ〜…っ」
酔ってべろんべろんの蜜蜂の猪口を蟷螂が取り上げる。まったく何でこんなに可愛いんだ理性が持たないだろうと溜め息を吐く蟷螂の腰回りには、蜜蜂がべったりとくっついている。
「かまきりしゃぁ〜、」
「何だ?」
にこにこ笑って腕の力を強めた蜜蜂が、すりすりと頬擦りしながら、
「踏んでください」
言った。
「……え?」
踏む?踏むの?ぐりぐりって踏むの?
「思いっきり踏んでください!そして見下しながら罵倒してください!」
「罵倒!? 罵らなきゃ駄目なのか!?」
「はい!大丈夫です、ただ
『ほら蜜蜂…これが欲しいんだろう?』
『あっ…!蟷螂さん、そんな…っ』
『ふふふ、相変わらず…ぬしはイイ声で啼く』
……とか薄汚く罵りながら蟷螂さんのアレで僕の頬を叩いてくれればそれで!」
「そんなこと誰がするか!」
あれか!? さっき私の腰に頬擦りしていたのはそれだったのか蜜蜂!
「じゃあ踏んでくださいそして罵倒してください!」
きらきらと目を輝かせて要求してくる蜜蜂。くっ…。確かに踏みながら罵倒は魅力的だ…!だが!
「……蜜蜂」
「はい」
「そんな気色悪いことを私がするとでも思ったのか?なら愚かにも程がある……ぬしには今一度、きちんとした教育…いや、調教が必要なようだな」
立ち上がって見下しながら蜜蜂の髪を引き、力づくでこちらを見させる。
「覚悟して貰うぞ」
この時の笑顔は、実に邪悪で愉しそうだったと腰が立たないどころか、指一本動かせなくなった蜜蜂に聞かされた。
終わり。
蜜蜂の妄想は書いてて恥ずかしかったのに、蟷螂さんの罵倒は凄く楽しかったのは何故だろう。