刀語
□せめて今夜は
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人鳥が言うには、クリスマスは今日らしい。突然のことすぎてあまり準備は出来なかったが、それなりにはなったのではないだろうか。
私達虫組の住む長屋も赤と緑に飾られていた。蜜蜂でも届かない程高い所は、蝶々がやってくれたのだろう。
頬を緩ませながら扉を開けると、蝶々と蜜蜂が出迎えてくれた。
「蟷螂どの、メリークリスマス!」
「サンタさんからプレゼント来てますよ〜♪」
早く早く、と腕を引く二人。子供のようにはしゃいでいる。
「あい分かった。そんなに急がなくともプレゼントは逃げぬだろう?」
「いーや、逃げるね!」
全く…。蝶々もこの手のものは大好物だからな、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
ばたばたと床を鳴らして着いたのは私の部屋。忍の部屋に立ち入るとは、なかなかどうしてサンタは不法侵入の達人らしい。
「蟷螂さん、僕達からプレゼントです!」
無邪気に笑う蜜蜂が手渡してきたのは、私が忍装束の中に着ている防寒着。
「蟷螂さん、それが一枚しかなくて寒いって言ってたから…」
頑張って織ったんですよ、と蜜蜂。それに続けて、蜜蜂がよく手を怪我してヒヤヒヤしたぜ、と蝶々。
こんな素敵なものを貰ったのだ。私からもやらんとな。
「ほら、私からもメリークリスマスだ」
蝶々には煙草。
「これ丁度切れててさ……有り難う蟷螂どの!」
蜜蜂には、
「あの、蟷螂さん……?」
無限の愛情を。
『愛しているぞ』
続きます。
ヤバい本当に意味不明だ…。