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□陛下と愉快な下僕達 〜性転換〜
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「…ってちょっと待て!人を勝手に置いてかないでよ!」

柚が冗談じゃないというように叫ぶ。いや、実際冗談じゃないのだろうが。

「無駄だよ柚。あの二人には聞こえてない」

ぁぁああああ、やってられるかと叫ぶ柚。藍も実は賛成らしく、頭を抱えて溜息をついた。

「こんな本迷宮に置いてくとか有り得ない…帰れない…」

「んー…。確かにそうだけどさ、愁達はここ慣れてるから」

「いやいやいやいや、それでも酷い。後でヌード写真の撮影ね」

「それ愁だけでしょ」

その後も現実から逃避しまくった会話を交わし、五分が経過した頃。二人は見渡す限りの世界、否本タワーを見上げて盛大に溜息をつき――笑った。

「ま、動かないことには出れるものも出れないし」

「仕方ないよ」

二人はその後も暫く笑いあった後、本の山へと進んでいった。







どうにかこうにか山を崩さず脱出成功、ああもう疲れたぁと書斎の扉を開く。目の前の廊下には、予想に反して愁と陛下がいた。

「あ、やっと出てきた」

「…遅い」

恨みがましく呟く陛下は放って、ぱたぱたと愁が黒のロングコートをはためかせて走り寄って来た。そしておもむろにそのコートを脱いだと思うと、まだ体温で温かいそれを藍の肩へと掛ける。

「中、暖房も何も点けてなかったから寒かったでしょ?」

何故柚ではなく藍なのか。答えは簡単、藍の方が寒そうだから。しかしそれさえも気に入らないのか、柚は隈のある目を不機嫌そうに細めた。

「し、愁!私あんまり寒くなかったし、ここここれ返す!うん、大丈夫大丈夫寒くないよあはははは」

「声が明らかに震えてるんだが…」

震えてるのは恐怖のせいだから心配しなくていいんだよ愁君!現に藍がコートを手放すと言った後柚めっちゃ嬉しそうだからね!


続きます。
スマホって打ちづらいですね…。
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