オリジナル
□陛下と下僕とクリスマス
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「待ってせめて治療くらいしよう」
がっしりと肩を掴んで制止し、サンタさん(腕やら脚やらが生物として向いちゃいけない方向に向いてる)を奪還。何とか治療をして意識取り戻させてソリに乗せた。
「ふぉっふぉっふぉっ。大変な目に遇ったのう……あいたたたたた」
「ほらおじいちゃんあまり動かないの」
なんかもう、ボケかけてるおじいちゃんだよ扱いが。
「おじいちゃんご飯はもう食べたでしょとか言うでない」
「おじいちゃん、ご飯はもう食べたでしょ?」
「いや、食べてないって言ってるでしょおばあちゃん。話ややこしくしないの」
「ああもう、おばあちゃん(父方)もご飯は食べたでしょ?おばあちゃん(母方)に迷惑かけないの」
「お母さんも、そもそも買い物行ってないからご飯の用意すら出来てないでしょ?駄目だよ現実から逃げちゃあ」
「いやいやお姉ちゃん……ってもういい加減ストーリーの理解が出来んわ!」
サンタさん、ナイスノリツッコミ。
「うん、それくらい元気なら大丈夫だろ」
「シバいた本人が何を言う」
陛下、今回ばかりは貴女が悪い。
とにかく、と咳払いをしたサンタさんが急にソリの袋を弄りだした。
「ほれ、クリスマスプレゼントじゃ」
渡されたのは、リボンで器用にラッピングされた箱。ご丁寧にも『Merry Christmas!』と手書きで書いてある。
「……えっと」
私、もう貰ってるんだけど。
「ではまた来年。ふぉっふぉっふぉ…!」
返すべきか迷っているうちに、サンタさんはソリに乗って行ってしまった。あのソリ、空飛ばないのか…。
赤い彗星……いやサンタさんが消えて少し経った頃(全員固まっていたからどれくらい経ったか分からない)、陛下がポツリと呟いた。
「……雪」
「え!?」(バッ)
「マジ!? 雪!? 雪合戦出来るかな雪合戦!」(バッ)
「雪だるまも作ろうぜ!こーんなでっかいの!」(バッ)
上から、和、私、悠。因みに、上を向いたのは全員同じタイミング。やっぱ雪っていいよね!
雪!雪!とハイテンションな私達を見て、ふっと微笑んだ陛下が一言。
「積もったら、遊ぼうか」
「「「うん!」」」
私達は、今日も元気です。
終わり。
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