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□陛下と下僕とクリスマス
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悠バリアーを発動して陛下の攻撃を防いでいると「要するに俺生け贄な」「当たり前だ」、何やら陛下が赤いものを引きずっていることに気がついた。悠もそれに気づいたようで、何やらガタガタと震えている。何、そんなヤバいものなのソレ?

気になったので覗き込もうとしたら、和に頭を押さえられた。

「……何だよ」

「見るな。見ちゃ……いけない」

「はぁ?」

そう言ってる和も小刻みに震えていて、何か私だけ置いていかれた気分。

納得いかねえ…。

「陛下、それ何?」

見れないなら聞けば良いと実に単純な方法を実行した。

「ん?ああ、この赤いのか?」

そう言って陛下がずるりと『それ』をこちらに寄せる。やっと私からも見える位置に来たので、悠達の制止も聞かずに見たそれは、

「――…え?」

元来真っ赤な衣装を、より濃密な紅で染めた――朝のおじいちゃん(サンタさん)だった。

「どうしたの、……コレ」

答えは予想できていたが、恐る恐る質問する。

「……サンタとは言え、不法侵入には変わりないからな」

陛下は、続きを言おうとしたが上手くオブラートに包めないといった様子で口を数回もごもごさせた後。

「――シメた」

きっぱりと、はっきりと、いっそ清々しいと言って良い程に堂々と……言い切った。

「「「何やってんだよアホォォォオオオ!」」」

「だから一応は不法侵入だし」

「だからも何もねぇよ!何やっちゃってんのアンタ!時差やら何やらの関係で今日がクリスマス・イヴの所だってあるんだからね!? たった今この瞬間がイヴから当日にかけての夜だって所もあるんだからね!? 皆が目ぇ覚まさない内にプレゼント届けきらなきゃいけないのに当の本人シバいてどうすんの!」

「子供達は!? 枕元に置かれているであろうプレゼントに胸膨らませて眠りについた幾千の子供達の夢はどうなるの!? 無いんだよ!? 朝起きたらあるはずのプレゼントが何処探しても無いんだよ!? その時の悲しみはどうしてくれるんだよこの馬鹿!」

「今すぐ帰してこい、元いた所に帰してこい! 今ならきっと間に合うから!まだ大丈夫だから!」

一斉に怒鳴る下僕達の気迫に、いつも飄々としている流石の陛下も納得したらしい。じゃあ帰してくる、とまたサンタさん(ボロい)を引きずりだした。
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