オリジナル
□陛下と愉快な下僕達 〜出会い〜
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「え……えぇえぇぇえええ!!?」
何で!? 何で3人も子供がしかも庭で寝てる訳!?
完全に混乱した思考回路が、いくつかの選択肢を指定してきた。
→逃げる
放置
拾う
捨て置く
……いやちょっと待ってそれ3番目以外同じだよね!?
とりあえずこのままだとこの子達が風邪を引くので、3番目の『拾う』を選択した。
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翌日。
何とか部屋に運んだはいいものの(一人は女の子だったので別室)、誰一人として目を覚まさない。疲れてんのかな、と放っておいたらあらもう陽が昇っているわ。
もう起きたかなー、と先ずは近くにあった男子組の部屋へと向かう。扉に手をかけたところで、中から話し声が聞こえてきた。どうやら起きているらしい。
『……だから、ここは何処なんだよ…』
『知らねぇって言ってるだろ?見たところかなり良い屋敷みたいだが…。というか、春何処だよ!!?』
『馬鹿!でかい声出すな!』
大丈夫、既に丸聞こえだから。
遠慮なんて空の彼方へうっちゃって、思い切り扉を開ける。中にいた二人はその瞬間凍り付き、すぐに戦闘体制を整えてきた。
「あっははは、大丈夫大丈夫。この屋敷には私とお前等しかいないし、何より私は一人だ。お前等は二人なんだから、圧倒的にこっちの方が不利だろう」
おー恐い恐いと笑いながら言えば、ますます睨み付けられる。まるで人質を捕っているくせによく言う、といった目だ。
「……春を何処へやった?」
殺気を込めて睨んでくる少年達。何か誤解してる?
「春って……あぁ、あの女の子?隣の部屋にいるはずだけど」
なんか活発そうだったから、起きて脱け出してない限りはね。
「流石に、女の子一緒に寝かせる訳には行かないでしょ?」
そう言ってにっこりと笑えば、ほっとしたように息を吐く二人。何だ、そんなにあの春って子は危ういのか。
「確認しに行く?」
こくり、直ぐに頷いた二人を連れて隣室へ。扉を開けてみると、
「……みっつん…」
ベッドで爆睡中だった。
「……寝てるけど」
「……寝てますねぇ」
「アイツ体力無いし、仕方ないっちゃあ仕方ないな……」
すやすやと眠る春を前に、何かもう怒る気も失せた朝だった。
続きます。
春、お前寝すぎ。