オリジナル
□陛下と愉快な下僕達 1
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所変わって、屋敷内・書斎。
「ははははは、今まで何してたんだお前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「「「ごめんなさい」」」(土下座)
「はっ、だが断る!!」
「逃げろ春っ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ダッシュで逃げ出す春と、追い掛けようとする主を必死で食い止める悠と和。
「落ち着いて下さい陛下!! アイツは本読み耽って探せなくなるから、ここを避けてただけなんです!!」
「ほ、他の所は一生懸命探してました!!」
「へぇ…どうやって?」
自らを食い止める下僕を、にっこり笑って威嚇するこの人こそ――
屋敷の主、通称『陛下』。
本名は誰も知らない知られちゃいけない。所々、いやかなり理不尽なお方で、よく春をノコギリ持って追い掛け回してたり鉈持って追い掛け回してたり金づち持って追い掛け回してたりする。捕まれば殺されることは目に見えているというのに、春は至って楽しそうに逃げるから不思議だ。そして春同様、下僕公認の腐女子。春と何やら薄い本を作っているとかいないとか。下僕達との仲は円満で、一見命懸けでも冗談半分の命懸け。ほてほてくっついてくる春が一番のお気に入りで、よく餌付けしている。悠と和は、弄る対象。
「はぁーぁるぅぅぅ――――ッ!!」
「いやぁぁぁあああああ!ちょ、それやめっ、包丁は流石に止めてぇぇぇええええ!」
レッツ追い掛けっこ。ガチ命懸け。そしてその間に逃げる男子達。
『くっ……、陛下!あんなところで悠と和がいちゃついてる!!』
『何だと!?』
「釣られんな!」
陛下の注意が悠達に向いた瞬間にダッシュ逃げの春。真庭忍軍十二頭領並みのスピードである。
「あいつ、体力無いくせにこういう時だけはよく走りやがる…!」
全力で陛下から逃げつつ、忌々しそうに呟く和。
「いや……春の場合、陛下との追い掛けっこは慣れてるからじゃないか?」
そしてこちらも全力疾走の悠。ひょいっと後ろに振り向き、陛下がいないことを確認する。安心して前に向き直り――
「ぎゃぁぁあぁあ!?」
目の前に陛下発見、いつの間にそこに来た。
「みぃーつけーたぁー…。」
ゆらぁ、とこちらに歩み寄る陛下。怖い。
「っ和、後ろに――ってもういねぇし!」
焦って和に作戦を伝えるが、時既に遅し。とっくに和は逃げていた。
「さて、悠…どうしてくれようか?」
その後、3人まとめて説教された下僕達であった…。
続きます。いつか。