刀語

□ぽっきー
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ことの起こりは、蟷螂だった。

2011年11月11日、上手く加工すれば2011.11.11.。そう、1が見事に6つ並ぶ今日この日は――――。

「ポッキーの日だ、蜜蜂」

「……は?」

唐突に赤い箱と意味不明な台詞を突き付けられた真庭忍軍十二頭領がひとり、真庭蜜蜂は彼らしくもない声を上げる。

それも当然だろう。
2011年11月11日は、あくまでも『こっち』の事情であり時間軸である。今彼らが会話している時間、もとい時代は、尾張幕府の治める、
太平の世なのだから。

「……ぽっきーの日、ですか?」

物事を冷静に客観的に見ると自負している蜜蜂だが、あまりに意味不明な蟷螂の行動に着いていけない様子。しかし、蟷螂は蜜蜂にとって上司であり、更に恋人でもある大切な人。座っているが故の上目遣いに首をちょこんと傾げ考える仕種。

「…………ッ!!!!」

それを見た蟷螂、(可愛い可愛い可愛すぎるにも程があるだろう抱き締めたいあーでもやっぱり襲いたいけどポッキーがでも襲いたい)と約0.3秒で思考を巡らせた後、ごほんとわざとらしい咳払い。

「ああ。何故か分からぬが、今朝起きたら枕元にこれが置いてあってな…。今日はポッキーの日だからこれで楽しめ、というような書き置きも一緒に置いてあった」

「書き置き…ですか」

「うむ」

んー…?と傾げた首を更に曲げ、肩につくまでになりそうになって考える蜜蜂。健気だ。

「…ああ、そういえば蜜蜂」

「はい?」

蟷螂の呼びかけに、蜜蜂は笑顔で答える。蜜蜂は気付けなかったのだ。

「――――ポッキーゲームというものを、知っているか?」

冷静沈着な仮面の向こうに垣間見る、用意周到卑怯卑劣な本性を。




終われ。

 
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