エゴ
□紅月
1ページ/4ページ
今日は、何かしらのイベントがあるらしい。
あるらしい、というのは野分がイベントの旨だけを伝えて仕事に向かったからだ。曰く、『見れば分かります♪』だそう。……見れば分かるって何だ、見れば分かるって。
講義の合間に確認したメールによると、そのイベントはどうやら夜に起こるらしい。眠いでしょうが、頑張って起きてて下さい…と書かれていた。あと、外に出るので厚着して下さいね、とも。
外……散歩にでも行くのか?
.
.
.
言われた通りに厚着をして待っていると、漸く野分が帰ってきた。時刻は9時30分、なかなかの時間だ。
「ヒロさん……なにも、家の中でも厚着しなくて良かったんですよ?」
でも、そんな所も可愛いです。そう言ってにっこりと笑う姿に、反論が出来なくなる。
「…厚着してろって言ったのはお前だろ……」
「してて下さいとは言ってません」
きっぱりすっぱり言い切りやがった…。
「……お前、最近生意気」
「はい、反抗期なんです」
それ、前にも言ってなかったか……?というか、この会話自体前にしただろ。
まあいいか、と自己完結しかけたところで野分がいきなり慌てだした。
「ゎ……っ、もう10時!? ヤバい、早くしないと始まっちゃいますよヒロさん!」
いや、始まっちゃいますよと言われても困るんだが。
妙に慌てる野分に半ば引っ張られるようにして、俺達は家を飛び出した。
続きます。