エゴ
□このバカップルめ!
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明日は、久しぶりに一日中野分といれる日。因みにさっき野分が帰ってくるまで10日も会っていないので、会うのも久しぶりだ。
久しぶりだし、少しくらいは甘えてもいいかなぁ〜、なんて…///
「…。練習、してみよう」
夜勤から帰ってきた野分は、只今絶賛爆睡中なことだしな。今なら、素直になれるから。
ゆっくりと足音を立てないように野分の部屋へと入り、優しく硬質な黒髪を撫でる。
「…野分」
目の下にある隈が痛々しい。だけど、これは野分にとって勲章みたいなものでもあるはずで。
そっと瞼にキスを落とし、小さく呟いた。
「……好きだよ」
熟睡している野分には聞こえていないはずだが、夢で良いことでもあったのかふわりと微笑んだ。その笑顔が可愛くて、もう少し見ていたいと思う。
そして野分が一向に起きる気配を見せないのを良いことに、頬を緩ませてもう一度呟いた。
「愛してる」
翌朝。
弘樹が実は起きていた野分に凄くいい笑顔で礼を言われ、何故だろうかと首を傾げる事になるのは言うまでもない。
終わり。
……そこまで甘くならなかったな。
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