エゴ

□この想い、
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「ヒロさん、」
「んー?」
本に目を向けたまま俺に見向きもしない彼に、優しく問いかける。
『ヒロさんの手に拳銃があって、俺と宇佐見さんのどちらかを殺さないといけないとしたら、ヒロさんはどうしますか?』
と。
俺なら、迷わず宇佐見さんを撃ち殺す。せめて苦しまないよう、頭を一発で。

殺す。

そんなことを考えていたからか、「怖い顔してるぞ」と注意されてしまった。
慌てて笑顔。
すると、彼は呆れたように溜め息をつき、さも当然のように言った。

「俺だな」

「…? 俺だな、って、何がです?」
あまりに唐突すぎて、何が何だか。
「はぁ〜…。馬鹿じゃねぇの、お前。」
「はい、ヒロさん馬鹿です!!」
飛びっきりの笑顔で断言する。だって、俺は本当に、どうしようもないくらいヒロさん馬鹿だからだ。
だってヒロさん、俺はさっき貴方を助ける為なら宇佐見さんを殺す、と考えたんですよ?
もう正気の沙汰じゃありませんって。
なのに、こんな俺なのに、ヒロさんは笑って言ったんだ。
「だから、さっきの質問の答えに決まってんじゃねえか」

続きます。

あれ、暗い。
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