転生もの

□…どうやら、転生したようでして。
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目が覚めたら、

『もしっ?もしもし、もし!』

何かもしもし言うのに囲まれてた。

…どういうこっちゃい……。







「もし、もしもしもし、もしっ?」

何かもしもし言ってるよ。炎が紫でちょっと顔と手がある程度のちっちゃい蝋燭がもしもし言ってるよ。ちっちゃい手をぱたぱたさせて心配そうだよ畜生可愛い。

言葉が通じるか分からないけど、大丈夫、心配しないで、と伝えようと声を出す。

「もし、もしもしもし」

聞こえたのは、もしもしという誰かの声だけだった。

…え?何で?あれ?私、大丈夫だよって、言ったはず、なのに。
気のせいだと自分に言い聞かせ、もう一度と空気を震わせる。それでも、出たのはもしもしの羅列だった。

「…もし?」

目の前の金色が不安げに小さくなる。大丈夫か、とでも言いたげに、泣かないで、とでも言いたげに。もしもししか言ってないのに、何を言っているのかが手に取るように分かる。

「…泣いてないよ」

ぽそり、と呟く。相変わらずもしもしとしか言えないけど、相手には確実に伝わっている。

試しに手を見てみれば、そこにあるのは真っ白くて小さな蝋の塊。きっと頭には紫の炎が灯っているのだろう。

もしも生まれ変わったら何になりたいか、という質問。ありふれたそれに、私はこう答えたんだ。

『…人にはもう、なりたくないかな』




続きます。
 

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