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□陛下と愉快な下僕達 〜リクエストの悠愁悠〜
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朝。うちの愁と春は睡眠に貪欲なので、目が覚めても中々布団から出てこない。寝起きが悪い俺とは違い、体を揺らされるか声を掛けられるかするだけで目覚めるというのに残念だ。そんな訳で、二人とも起床時間は遅い。睡眠時間の長さはダントツで春がトップ。朝の7時ぐらいまでなら余裕で起きていられる愁とは違い、10時を過ぎた時点で眠そうに目を擦っている。そんな訳で、起きてくるのも春が一番遅い、と言っても精々30分程度の差だが。

今日もそんなとこだろうと、のそのそ重い瞼を擦りつつ台所へ向かう。と、

「んー…?藍、目玉焼きってこんなんでいいの?」

「そうそう。愁上手いじゃない」

「本当?へへ、ありがとー」

愁が起きて、しかも朝食を作ってくれていた。いつもとは違う白いシャツに黒のエプロンを装着。コートと同じく長めのもので、膝まで隠れている。…ワンピースみたいで可愛いなぁ…。抑えられない愛しさが口角を吊り上げていった。危ない危ない、このままにやけてるんじゃただの不審者だろと慌てて引き締める。

「あ、もうそろそろ悠が起きてくるね」

「起こしに行ってあげれば?その方が悠も喜ぶでしょ」

…なに?

「起こしに行くの!? それはちょっと、ね?藍」

「そんなこと言っちゃって、本当は起こしにいくつもりだったくせに」

「ばれてる!?」

…起こしにくる?愁が?俺を?

「当たり前でしょ。まったく、何年一緒にいると思ってるの」

藍、その発言は少しヤバいよ。俺イラッてきちゃうよ。

「ははっ、お見通しかぁ。分かった、行ってくるよ。…あ、でもこれ出来上がった後でね?」

「寝かしてやりたいだけのくせに」

「あーあーあー聞こえなーい!」

明るい会話を背に、俺は音も立てずに駆け出した。


続きます。
元ネタ、実はルーズリーフに書き殴った落書きなんて事は内緒だからね?
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